グータンと語ろう。③
(②はこちら)
まじめにってなんだろう。
島野:
無限大って、あれ上がっていくんだよね?サードが一番下?
森山:
いや、トライアルが一番下。NSC卒業したら、基本みんなトライアルに行く。そこからサード、セカンド、ファーストを目指すんだけど、そこでよしもとの若手の60~70組くらい。
島野:
あ、そこでもうそんなに絞られるんだ。
森山:
そう。だからサードにいるだけで全然違うよ。
原田:
そうだね。
森山:
僕らは最初、サードからスタートさせてもらって、2ヶ月くらいはいたんだけど、”グータンの時間”(②中盤のお話を参照に!)でトライアルへ(笑)。そっから上がるのが、大変なんだよねぇ。
原田:
3回くらい一位とらないと。
島野:
あ、一発でいけないんだ。
森山:
そうなの。お客さん投票で。
大内:
どういうあれなの?気持ちなの?
原田:
森山は、相当あれだったと思うよ。
森山:
んー、やだったよ。
大内:
シンプルに。
島野:
シンプルにやだったよは重いなぁ。重いやだったよだなぁ。
原田:
お客さんも2、3人くらいのライブにずっと出なきゃいけないからね。ライブのあとに、作家さんからのダメ出しみたいのがあって、それもね。
森山:
それが嫌だったねぇ。怒られるっていうか、なんだろうな。すごい、謎の正論みたいなことを言ってくるというか、おもしろ部分についてじゃないというか‥‥。たとえば、僕が原田くんに詰め寄るコントがあったとして、ツッコミのほうは帰ればいいのになんでいるの?みたいな。‥‥コントだからなぁと思うんだけど、そう修正を重ねていくうちに、最終的に気持ちの悪いネタになっちゃうことが多くてみたいな。
原田:
どんどん気持ち悪くなっちゃうんだよな。
大内:
んー。
森山:
なんかさ、昔はもっとネタにつっこみどころ多くなかった?つっこみの原田くんがもう変というか、乗っちゃうというか、つっこみがつっこめてない。
島野:
つっこみやってんだけど、お客さん自身でつっこみにつっこみはじめるみたいなね。そういうゾーンはあるかもね。
大内:
でも、そこが逆に足引っぱったんだ。
島野:
整合性っていうところでね。整合性を追求すると、カフェの設定でボケれないからね。
原田:
そうそう。整合性しか言われなかったんだよね。
島野:
そうなると、見知らぬ人同士の会話、ほぼ「あっ」で終わるかも。
三人:
(笑)
大内:
しんど期間。
原田:
そうね。でもどっかで、そんなにずっとはいないんだろうなとは思ってた。
島野:
ネタ作りではさ、この指摘は違うんじゃないかとか、そういう話はしないの?
原田:
あー、そこで森山まじめだから、そういうふうに作家さんから言われたら、そうしなきゃってなっちゃって。
森山:
作家さんからこうやったほうがいいよって言われたらそうやって、また別の人からああやったほうがいいよって言われたらそうやってみて。
大内:
板挟みになって。
森山:
でも両方を取り入れると、なんか言ってること違うなぁってなって。
原田:
だから、俺にずっと台本送り続けてたもんね。
森山:
学生時代とか、一回もそんなことしたことないのに。言われたら直して、それでやってみて全然違って、また言われて直して、の繰り返し。
原田:
二人でネタ合わせしてる最初はおもしろいんだよね。で、それやろうってなって、森山がまじめに台本にしたら、ひとつもおもしろくないのが出来上がるんだよ(笑)。
森山:
で、もうやめた(笑)。
大内:
台本にしないほうが。
原田:
台本にしたらおしまいだよね。
島野:
なるほどなー。それ以前はどういうふうにネタ作ってたの?
原田:
あんま考えてないんだよね。やりたいことをただやってたみたいな。例えば、ギターだったら、こういう曲作ってみてよって言って。
森山:
僕が本当に曲作って、それをネタにする。
島野:
本当にセッションでやってるんだ。
大内:
グータンのネタは、外側から見ると、最初にぽんって思ったことをネタにしてるんだろうなっていう印象はあるよ。俺は。
原田:
そうだね。やりながらだね基本は。遊びのなかで。
島野:
でもそれは、見てる側には、やってる二人楽しそうだな~っていう形で伝わってると思うよ。
原田:
でも、それじゃあプロではダメかなとも思って、プロになってからまじめに作り出して。でもやっぱ、ダメだったんだよね。
島野:
まぁ、真面目にやっていけるパターンも往往にしてあるだろうけどね。そうじゃなかったのかもなぁ。
森山:
そこでウケてなかったんだろうね。
島野:
たしかに。3分の構成すごすぎ!って感じではないかもしれないね。どれだけお客さんと一緒になってふざけられるか。
▲カメラロールをあさってたら出てきた、昔の森山。
森山:
一年目は、原田くんと毎日会ってたね。
原田:
ネタ合わせでね。
森山:
でも毎日会っても、ネタ合わせってすることないんだよね。そういうネタの作り方じゃないし。
原田:
でも、やんなきゃみたいな気持ちでね。
島野:
なるほどなー!
大内:
グータンのその楽しそうにやってるなっていうことを伝えられることは、今こっちにむちゃくちゃ必要なんじゃないかと思ってるんだよね。
森山:
あー。
大内:
お客さんと演者との垣根を崩していくのに、楽しそうっていうのはひとつヒントだと思うんだよね。でも、グータンはそれを自然にやってるよね。
原田:
なるほどなぁ。でもそれも考えてないからなぁ。
森山:
このまえ、フリーのライブに出たんだけど、それが5分ネタを2本やるってライブで。そのライブ、めちゃめちゃ楽しかったんだよね。ま、僕たち5分の尺があったら、5分のネタは作らないんだけど。
原田:
そうだね。
大内:
どういうこと?
森山:
練習で3分のネタ作ったら、僕ら本番5分になるから。
大内:
そういうことね!
森山:
5分ギチギチに組んで、2分目まではこうでとかやるんじゃなくて、なんか3分くらいのやつを5分の余裕で楽しんでやる。3分のネタも、もともと3分の尺で作ったら、楽しむ余裕がなくなっちゃう。
島野:
ずっとそれ?2分くらいにして、毎回何分のネタになるか細かくは分からないみたいな?
原田:
そうだね。
島野:
それすごいな!
原田:
決闘っていう、二人のガンマンが撃ち合うネタがあるんだけど。あれも本当は2分でできるんだけど、このあいだやったら、4分とかあったね。
大内:
倍じゃん。
島野:
くだりが増えてるの?
森山:
僕がボケを足すこともあるし、たまに序盤で原田くんが僕を殺しちゃうこともある。
大内:
殺しちゃうこともある(笑)。それは、ネタの運びどうなるの?
森山:
殺されちゃったら、あー殺されちゃったってなって、また違うネタに転がっていく。
島野:
すごいなぁ、軸から崩せるんだ。そこまで自由度が高いのは、稀だよね。
森山:
そのネタできっちり決めてるのは、僕はコントをやっていて、その世界から絶対に出ないってことと、原田くんは逆に、外の世界からコントの世界に乗っかってコントをしてるっていう、そういう軸。だから発言によっては、僕がつっこむ。
原田:
「コントって言うな!」って森山が言って、2、3分とか。
島野:
それはもう、森山もコントの世界から出てない?(笑)
森山:
だから殺しても、殺されてもいける。
島野:
包み込めるんだ。
森山:
「次絶対やめてね!」みたいな。
原田:
台本決めてないからね。細かいセリフとかは毎回違うと思う。
森山:
だから、いらないセリフが多いということは、すごい言われる。
原田:
そうそう。無駄が多いとか。
島野:
競技お笑い向いてないな(笑)。
原田:
ほんとに(笑)。
大内:
でもめっちゃいいよね。楽しいよね。
原田:
同じネタをやってても、今日のがよかったとか、この前のほうが、とかがすごい。
大内:
ボジョレー・ヌーボーばりに。
島野:
2014年のやつがうまいんすよみたいな。極端だけど、俺は100回見てもおもしろいコントはいいなぁと思ってて。グータンのは何回見てもおもしろそうというか、そもそも毎回違うんだもんね(笑)。
原田:
漫才のすごい人とかさ、すごいよね。何回見ても、おんなじだなーって思わせない。
森山:
僕らは、スベったとか言い出すもんね。コント中に。
原田:
バトルライブじゃ絶対にできないけどね。コント中に、”フリーでどうぞ”の部分がある。
島野:
そういうのはあるけど、空白の量が違う気がするなぁ‥‥。ワンセンテンスぶんとかはよくあるけど。
原田:
そのほうがむずくない?むずいよね?
森山:
まぁ、原田くんは、そもそもセリフを覚えられないっていうのもあるから。
三人:
(笑)
原田:
なんにもできないからね(笑)。
森山:
だから大きな空白にするしかないよね(笑)。
島野:
でも舞台上ではそこを任せられるっていう安心感もあるってことだもんね。
森山:
そうそう。なんなら舞台上で臨機応変にやるみたいなのは、原田くんのほうがうまいし。漫才とかやっても、僕のが下手で、原田くんのが上手。お客さんの様子を見つつできる。
大内:
そう思う。
原田:
えー!まじ?!
森山:
僕の方が漫才の出方間違えちゃったり、緊張もしちゃうし。そこを合わせて補ってくれるのは原田くん。
島野:
最高じゃん。
森山:
だからセリフ決めちゃうと、原田くんのそういう自由度がなくなっちゃうから。
(つづきます。)
(適当な記憶と、その場のノリで喋っているところもあるので、意味不明だったりそこらへんご理解ください!よろしくお願いします!)text by しまの/ photo by トールキン